湯もみ型付けはデメリットだけなのか?評判はどうなの??
- 2017.09.22
- 型付け
この記事では湯もみ型付けについて述べていきます。
湯もみ型付けとは?
湯もみ型付けとは、新品のグラブをお湯につけることによって、ポケットを作っていく型付け方法です。
内野用グラブや外野用グラブで、プロアマ問わず愛用者が多い久保田スラッガーというメーカーの、福岡支店長の江頭重利氏が初めて湯もみ型付けを行なった人物であると言われています。
人間も体温が上がると身体が柔らかくなるように、革でできたグラブもお湯に付けることで革の温度が上がり柔らかくなります。
このように、グラブをお湯につけて一時的に柔らかい状態にした上で、ポケット部分を形成したり、グラブに手のような関節を付ける湯もみ型付けを行なうことで、グラブがより使いやすくなります。
しかし、新品のグラブをお湯につけるという何とも荒々しい?方法であることから、湯もみ型付けに抵抗を持つ人も多く(というか大半?)、賛否両論が分かれている型付け方法とも言えます。
湯もみ型付けのメリットとデメリット
次に湯もみ型付けのメリットとデメリットについて述べていきます。
メリット
まず、湯もみ型付けのメリットから。
それはなんと言っても、グラブが新品の状態から(恐らく、他のどの方法よりも)早く練習や試合で使えるようになることです。
自分で一から型を付けようとすると、どんなに毎日叩いたり揉んだりしても、実践投入までは最低でも3ヶ月ほどかかってしまうでしょう。
良いパーツや革を用いた「良いグラブ」であればなおさら時間がかかります。
しかし湯もみ型付けをすれば、硬い新品のグラブでもラクに開閉ができるようになります。
どのくらい開閉ができるようになるかというと表現が難しいですが、
「最低でも軽くキャッチボールができる程度」といった具合にはなります。
また、湯もみ型付けは当たり前ですが、グラブをただ柔らかくするのではありません。
ボールを収める空間(つまりポケット)をしっかり作れるかどうかが非常に重要なポイントになってきます。
グラブ・ミットにポケットを作るので、ボールも捕りやすくなります。
湯もみ型付けは、お湯に付けてグラブ全体が柔らかくなった時、叩く・揉む等を施しポケットを成型して乾燥させます。
なので乾燥後も、柔らかい時に成型した型が形状記憶されやすく、ボールを収めるための空間が潰れにくく維持されやすいです。
※ただし、湯もみ型付けをする人の技術が、当然ながら型付けの良し悪しを大きく左右します。
デメリット
次にデメリットについてです。
湯もみ型付けにおける最大のデメリットは色移りやにじみです。
なぜかというと、色移りしたり、にじんだりするとそれらは元に戻せないからです。
型付けをする側の人も、そのグラブが色移りしたり、にじんだりするかはお湯につけるまで予測できないことが多いです。
メーカーやグレードが同じであっても、やはり1個1個のグラブ・ミットに使われている革が違うため、予測が難しいのです。
しかしグラブは使用していけば徐々に色あせたりしてもいきます。
その色あせと共に、色移りやにじみも分からなくなっていくことが大半です。
色移りやにじにみをある程度受容できる方は湯もみ型付けを検討されてみてはいかがでしょうか?
お湯にグラブを付けることは本当に良くないのか?
お湯にグラブを付けることは本当に良くないことなのでしょうか?
よく「グラブをお湯につけると革の油が飛ぶ(なくなってしまう)」、「革製品に水分は大敵だ」といった意見があります。
この意見に対しては、「手入れや乾かし方が重要」であると考えます。
確かに革製品が水に良いとは言えないでしょう。 しかし、革は野球のグラブづくりに限らず、バッグや革靴を作るのに用いられる際も、下処理の段階で洗ったり、色染めの時点て液体の中に浸けたりしますし、雨の日に使用したグラブがその後二度と使えなくなるかというとそんなこともないです。
要するには手入れや乾燥の仕方によって、そのグラブの寿命も変わってくるということです。
実は湯もみ型付けをしたグラブも、正しい手入れ・乾かし方をすれば必ず長く使うことができます。
「湯もみ型付けをするとグラブの耐久性が極端に落ちる」という意見も耳にします。
たしかに湯もみ型付けをしていないグラブよりかは耐久性が劣っているかもしれません。 しかし実際は、湯もみ型付けをしたことによってグラブが早く傷むケースより、変なひねり捕球などをし続けたことによって、グラブの捕球面の革が裂けたりするといった、間違った使い方をしてグラブが傷んでしまうケースがの方が、圧倒的に多いのです。
つまり、正しくグラブを使うことができれば、たとえ湯もみ型付けをしていても絶対に長く使えます。
久保田スラッガーのグラブは湯もみ型付けを強くオススメ
湯もみ型付けをおすすめしたいメーカーのグラブがあります。
それは久保田スラッガーのグラブです。
久保田スラッガーの革は、コーティング加工が施されていないことで有名です。
多くのグラブの型付けを担当させて頂いた中でも久保田スラッガーは、型付け前と型付け後では180度グラブが変わります。
特に軟式グラブの場合が顕著です。 実は久保田スラッガーの軟式グラブは、"Pro Model"と刻印された薬指の付け根部分がボコボコした状態で納品されていることが多いのです。
湯もみ型付けであれば、そのボコボコの状態を修正しやすいです。 ぜひ、久保田スラッガーのグラブをお持ちの方は、湯もみ型付けをご検討ください。
どちらがオススメ?自分でやるor事業主に依頼
型付けによりクオリティを求めるのであれば、やはりお店や事業者に依頼する方をオススメします。
なぜかというと、湯もみ型付けはスピードが超重要だからです。
お湯に浸けて型を付けていくということは、いかに革が温かい間に仕上げられるかが、型付けの良し悪しを左右します。
普段から型付けを行なっているショップ等の事業者であれば、どこをどのくらい叩いて揉めばグラブが柔らかくなり、型が付くか感覚的に分かっているので、お湯につけたグラブが冷める前に型付けを仕上げることが可能です。
持込グラブの湯もみ型付け受け入れが少ないのはなぜ?
しかし現状、持ち込みのグラブに対して湯もみ型付けを受け付けているショップは多くありません。
これはなぜかというと、持ち込みのグラブだと汚れているケースが多いことが一つの要因です。
また、自分のショップで購入された新品グラブだけでも型付けの依頼がたくさんあるため、持ち込みのグラブまで対応できないショップがほとんどなのです。
まとめ
今回は、湯もみ型付けについて述べてきました。
賛否両論が飛び交う湯もみ型付けですが、湯もみ型付け経験者の筆者も、最初は湯もみ型付けに対して否定的でした。
しかし現在は、湯もみ型付けを推奨しています。
それはデメリット以上にメリットが大きいと思うからです。
未だ湯もみ型付けを試してみたことがない方など、この機会にぜひ一度検討されてみてはいかがでしょうか?